ビジネスマンが聞くべき名作落語3選
親の影響で落語を少しずつ聞き始めて約5年。
最近、ふと落語ってビジネスに活かせるよなあと思いました。
探してみると、こんな本もありました。
落語には、お金と人間関係にまつわる話題が多くでてきます。いつのときもその辺りは変わらないのでしょう。
さて、今日はビジネスマンが聞くと必ずグッとくるであろう噺を3つご紹介します。
No.1 帯久
これは、「お金の貸し借り」がテーマの噺です。
立川志の輔さんの噺からあらすじをご紹介します。
あらすじ
日本橋本町三丁目に住む呉服屋和泉屋与兵衛は篤志家で大変繁盛していました。隣町に住む帯屋久七は陰気で売れなかったので、世間から”売れず屋”と呼ばれていました。
年末のある日、帯屋久七が和泉屋与兵衛を訪ねてきて年末の支払いのやりくりがつかず、 20両貸して欲しいと頼みに来ます。
和泉屋与兵衛は証文も利子も取らず快くお金を貸し、お金を飲ませて帯屋を帰します。
和泉屋は20日ほどで帯屋はこの金を返しました。さらに5月には30両、7月には50両、9月には70両と借りましたが、その都度20日ほどで返しました。和泉屋はついに11月には100両貸しましたが、その月には返済がありませんでした。
大晦日、多忙な中、帯屋は借りた100両を返しにきましたが、久七と100両を残しておいたまま与兵衛は出かけてしまいました。その隙に、久七は100両を盗んでしまいます。
盗んだ100両を元手に帯屋は大繁盛。一方、客が奪われた和泉屋は一人娘と妻を相次いで亡くし、大火事で家まで焼けてしまい、全てをなくして気力をなくし、病気にかかってしまいました。
10年後...。和泉屋は回復して還暦を迎えていましたが、落ちぶれてしまっていました。部下になんとか自分の店をもたせてやろうと思った和泉屋は、10年ぶりに帯屋にお金を借りにいくのでした。
(動画は↓をどうぞ。)
お金で人間は変わる
人の信用・信頼とお金についてよく考えさせられる噺です。
いつの時代も、人間関係にお金が絡んでくるとややこしくなるのは変わらない。
そんなとき、自分だったらどう振る舞うだろうか?そんなことを考えさせられました。
No.2 文七元結
これは、親子関係とお金に関する噺です。
当時は、借金の担保に自分の娘を吉原に送る、なんてこともあったようです。
あらすじ
左官の長兵衛は博打の借金が50両にもなり、年も越せません。
父の博打狂いを止めさせたいと、17歳になる娘のお久が吉原に身を売って金をこしらえました。
吉原の女将は、来年の大晦日までお久には客を取らせずに、自分の身の回りを手伝ってもらうが、その日までに返すように言います。
「一日でも期限が過ぎたら客を取らせる。娘がかわいいなら、一生懸命稼いで請け出しにおいで。」
と言われて、長兵衛は心を入れかえ、一年後50両を懐に吾妻橋を渡ろうとするのですが・・・。
(全部聴ける動画は↓)
江戸版マイクロファイナンス
この噺から、ノーベル平和賞をとったムハマド・ユヌス氏が設立したグラミン銀行で注目された、「マイクロファイナンス」を連想しました。
貧困層に担保なしで小額からお金を貸す、というものですが、まさに吉原の女将と長兵衛のお金のやりとりはマイクロファイナンスそのものでしょう。
No.3 唐茄子屋政談
仕事と人間関係に関する噺です。
古今亭志ん朝の噺からあらすじをご紹介します。
あらすじ
商家の若旦那の徳三郎、吉原通いが過ぎて家にもなかなか帰ってきません。
道楽をやめなければ勘当だと言い渡されますが、
「勘当?結構、お天道さまと米のメシはついてまわりますから。さいならっ」
と家を出て行ってしまいます。
なじみの芸者や幇間のところに居候をしますが、いつまでもいい顔はしません。
それを察した徳三郎、行くところがなくご飯も食べられず、こんなつらい暮らして弱って死んでしまうならばと、吾妻橋から身を投げようとします。
「施し」の重要性
徳次郎は、売り歩いていたかぼちゃと1日の売り上げ全てをかわいそうな奥さんにあげてしまいます。
その、一見あほらしくも思える行動が、のちの徳次郎の人生をかえていくのです。
こんな動画を思い出しました。
情けは人のためならず。
おあとがよろしいようで。